『ニッケル・アンド・ダイムド アメリカ下流社会の現実』 byバーバラ・エーレンライク(東洋経済)
2006年 08月 28日
「貧困から這い上がれない低賃金労働者たちの実態を描く」という帯の通りです。
エーレンライクさんは50台半ばのジャーナリストで、ふだんは「中流の上」の生活を送っていますが、労働問題が専門家のフェミニスト。
そこで、「全米でほぼ30%が8ドル以下の時給で働いている」とい現実がどれほど厳しいものであるのかを潜入ルポで調査しようと考えました。
まずフロリダでウェイトレス、つぎにメイン州で掃除婦(と痴呆性老人介護施設での食事配膳・介助・食器洗い)、ミネソタ州でウォルマートの店員、という生活を数ヶ月にわたってやります。
面白いのであっというまに読み終わりますが、アメリカの下層階級になったが最後、這い上がることがどんなに難しいか、時給8ドル以下の生活がどれほど「人間の尊厳を守れない・危険」な生活であるか(健康上も治安上も)ということが判ります。
しかし自分にとって一番の発見は、食費の安いアメリカで、住居費の高騰こそが、貧困から脱出しにくくしている最大の要因だということでした。
どうやらアメリカでは高額所得者への住宅取得補助制度(年間2万ドル)はあっても、低所得者層のための安い家賃の公営住宅などは存在しないらしい!!
それじゃ生活できんだろーというのももっともで、だから600ドル以上の家賃(?)で、トレーラーハウス(ちょっと大き目のバンみたいな車で、走らない)に暮らすことになる。
日本で7万の家賃で車で生活するってありえないと思うんですが、かくもアメリカでは住宅事情が悪いらしい。なんでだ?土地は馬鹿みたいに安そうなのに・・・。
しかもその家賃を払って一人で暮らせるわけはなく、ほとんどが二人以上でシェアしているんだから、まさに「リアル神田川」。
これは連邦政府なり州政府の介入が必要だと思うけど。土地は有限な資源なんだし。フリードマンの自由競争原理では解決しない由々しき社会問題だと思うのはバーバラさんも同感のようです。
どうも彼女は日本やヨーロッパの社会福祉制度に憧れを持っているらしく、アメリカ型に日本が近づこうとしているんです、といったらきっと驚愕して絶対にやめたほうがいいといってくれることでしょう。
おすすめ。
エーレンライクさんは50台半ばのジャーナリストで、ふだんは「中流の上」の生活を送っていますが、労働問題が専門家のフェミニスト。
そこで、「全米でほぼ30%が8ドル以下の時給で働いている」とい現実がどれほど厳しいものであるのかを潜入ルポで調査しようと考えました。
まずフロリダでウェイトレス、つぎにメイン州で掃除婦(と痴呆性老人介護施設での食事配膳・介助・食器洗い)、ミネソタ州でウォルマートの店員、という生活を数ヶ月にわたってやります。
面白いのであっというまに読み終わりますが、アメリカの下層階級になったが最後、這い上がることがどんなに難しいか、時給8ドル以下の生活がどれほど「人間の尊厳を守れない・危険」な生活であるか(健康上も治安上も)ということが判ります。
しかし自分にとって一番の発見は、食費の安いアメリカで、住居費の高騰こそが、貧困から脱出しにくくしている最大の要因だということでした。
どうやらアメリカでは高額所得者への住宅取得補助制度(年間2万ドル)はあっても、低所得者層のための安い家賃の公営住宅などは存在しないらしい!!
それじゃ生活できんだろーというのももっともで、だから600ドル以上の家賃(?)で、トレーラーハウス(ちょっと大き目のバンみたいな車で、走らない)に暮らすことになる。
日本で7万の家賃で車で生活するってありえないと思うんですが、かくもアメリカでは住宅事情が悪いらしい。なんでだ?土地は馬鹿みたいに安そうなのに・・・。
しかもその家賃を払って一人で暮らせるわけはなく、ほとんどが二人以上でシェアしているんだから、まさに「リアル神田川」。
これは連邦政府なり州政府の介入が必要だと思うけど。土地は有限な資源なんだし。フリードマンの自由競争原理では解決しない由々しき社会問題だと思うのはバーバラさんも同感のようです。
どうも彼女は日本やヨーロッパの社会福祉制度に憧れを持っているらしく、アメリカ型に日本が近づこうとしているんです、といったらきっと驚愕して絶対にやめたほうがいいといってくれることでしょう。
おすすめ。
by yayoima
| 2006-08-28 19:49
| 経済の本